内縁関係

実質的に夫婦生活をしている関係

 
内縁(内縁関係)とは、社会において夫婦としての実質を持っていながらも、婚姻届が出されていないために夫婦と認められない関係のことを言います。
「事実婚」と言われることもあります

以下は筆者個人の解釈ですので、正しくは専門家にお問い合わせください。


   構成

内縁関係
内縁の法的位置婚姻の届出を欠いているために法律上の夫婦と認められない関係を指します。
内縁の要件内縁関係の成立には婚姻意思が必要と解されています。
内縁の効果多くの点では法律婚に関する諸規定が類推適用されます。
特別法上の扱い事実上婚姻と同様の関係にある者につき認める例として 厚生年金保険、健康保険などがあります。
内縁の解消内縁関係は当事者の死亡、当事者間の合意、事実上の共同生活の終了により消滅します。
重婚的内縁重婚的内縁については、無効説、相対的有効説、有効説が対立しています。


法的に見た内縁関係

内縁の法的位置

内縁は社会一般においては夫婦としての実質がありながら、婚姻の届出を欠いているために法律上の夫婦と認められない関係を指します。
初期の判例では内縁関係を何ら法律上の効果を生じない単なる男女関係とされたり、将来の婚姻の予約であるとし、この予約が履行されない場合は損害賠償を請求しうるされています。
その後、通説は内縁関係を婚姻に準じる準婚関係であるとみるようになりました。

第二次世界大戦後は、原則として両性の合意があれば届出によって自由に結婚できるようになりましたし、届出婚主義が浸透してきました。

現在、内縁関係が成立する場合としては、
 (1)婚姻障害が存在する場合
 (2)単に届出が遅れている場合
 (3)当事者が意図的に届出を行っていない場合
などに限られるとされています。
しかし、重婚的内縁などにもこの要件が適用されるかどうかは議論されている所であり、今後の内縁の法的保護のあり方についてはまだ議論があります。

内縁の要件

内縁関係の成立には婚姻意思が必要と解されています。
すなわち、内縁関係は当事者の合意により事実上の夫婦としての生活関係が存在すれば成立するわけです。儀式は不要です。

しかし、以下のような婚姻障害が存在する者の間では内縁関係の成立が問題となります。
 婚姻適齢との関係
 再婚禁止期間との関係
 近親者間の婚姻の禁止との関係
 重婚の禁止との関係
このように本来結婚できない状態での生活は内縁関係と言うことが出来るかどうか問題になります。

内縁の効果

法律婚と同じように、多くの点では婚姻に関する諸規定が類推適用されます。
言い換えれば、婚姻しているのとほとんど変わらないわけです。

身分的効果
 同居・協力・扶助義務
 貞操義務

財産的効果
 婚姻費用の分担
 日常家事の連帯責任
 帰属不明財産の共有推定

認められないこと
 夫婦の同氏‥同じ苗字に変更はできません
 成年擬制
 配偶者相続権・・配偶者相続権は認められません(特例あり)
 子の嫡出性・・子は非嫡出子となり母の氏を称することになります

特別法上の扱い

事実上婚姻と同様の関係にある者につき認める例
 厚生年金保険法3条2項
 健康保険法3条7項1号・3号
 船員保険法2条9項1号・3号
 労働基準法79条・労働基準法施行規則42条1項
 労働者災害補償保険法16条の2第1項
 国家公務員災害補償法16条1項

内縁の解消

内縁関係は当事者の死亡、当事者間の合意、事実上の共同生活の終了により消滅します。

 配偶者相続権・・相続人不存在の場合には財産分与が認められます
 財産分与請求権・・類推適用されますが死亡の場合には類推適用されません
 損害賠償請求権・・内縁関係を不当に破綻させた場合相手方は損害賠償を請求できます

重婚的内縁

法律上の配偶者のある者が他の者と内縁関係にある場合を重婚的内縁と言います。

重婚的内縁の法律関係については、公序良俗違反とする無効説、相対的有効説、準婚として保護を与えるべきとする有効説が対立しています。

かつての判例は重婚的内縁に否定的でした。
しかし、法律婚の実体が事実上の破綻状態にあるか否かという点を基準として、重婚的内縁にも内縁に準じた効果を認めるべきか否かを判断しようとする傾向になってきました。


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