子や孫たち

 

子や孫たちそれぞれの道

子は親の背中を見て育つと言われますが、親の人生としての歩み方の極意を知らぬ間に勉強しているようです。
子も孫も、それぞれ自分の好きな道を定め、その道の勉強をし、実際自分の道を進んでいます。有難いことです。

子供

私たち夫婦には、二人の子供が居ます。
上は女で、下は男です。

長女は気は強いですが、ある程度勉学はできます。クラスでは常に上位に居ました。
中学時代から看護婦にあこがれていたようです。
高校になるとそれは明確になって来て、私は看護婦になるのだと宣言していました。
そうして看護婦の学校に進み、国家試験に合格して資格を取りました。

昔は看護婦と言っていましたが、現在は看護師と言われるようになっていますが、私は看護婦の方が慣れていますので看護婦のままで通します。

看護婦の学校では、奨学金制度があり、これもパスしてほとんどお金はかかりませんでした。
卒業後早速病院に勤め、しばらく働いていましたが、やがて結婚し専業主婦となりました。

子育てに忙しい時期が過ぎますと、時間を持て余すようになり、再び看護婦の仕事をするようになりました。
資格を持っていれば引く手あまたです。
全くの売り手市場で、選び放題だそうです。
それで、近くの内科の開業医の所に勤めていますが、この日は休みで、あの日は早退ですなどと好き勝手にやっているようです。
資格を持っていると強いですね。
自分で選んだ道で好き放題に生きています。

下の男の子ははっきり言いましてちょっと出来が悪いです。
自分でもしっかり位置づけを認識しており、進むべき道も早くから決めていました。
高校は通信制とし、高校の勉強を続けると同時に電気の専門学校に通いました。
電気工事士の資格を取り、ビル管理の仕事についていましたが、その会社の先行きが怪しくなってきたため、電気関係の会社に移りました。
その電気関係の会社で、現場勤めをしています。

私は同じ電気でも設計と言う最先端の部署にいましたが、彼は全く逆で、現場で製品を作っています。
しかし現場の方が絶対楽です。言われたとおりにこなせばいいのですから精神的に楽しいと思います。

この子が小さい頃、私は少し心配しました。
本当に成長して自分で生活できるようになるかと。
しかし現実は違いました。彼なりに努力したのです。

自分の給料で車も買い、遅ればせながら結婚もして、妻には仕事をさせていないほどです。
立派に自力で生活しています。

私と違い、控えめで、人の前に出ることは好きません。
それでも電気の道に進むと決めて、電気の会社で仕事をしているのです。
夫婦生活も円満で、私たち夫婦と同居していますが、固定資産税や光熱費など、彼が全部背負ってくれますので、私は年金だけでも十分なのです。

心配することはありませんでした。
彼も好きな道を歩むことが出来、安定した生活が保証され、毎日を楽しく過ごしています。

長男は結婚が遅かったため、子供はいませんが、長女には三人の子供が居ます。
つまり、私には三人の孫がいるのです。外孫になります。

一番上の子は頭がいい女の子です。
昔なら帝国大学と言われた国立大学に入学しました。この付近では一番の難関ですが見事に合格しました。
目指すのは、母親の看護婦とは少し違い、理学療法士だそうです。

現在大学で勉強中ですが、英語がすごく得意です。
英語の弁論大会に出たこともあります。
ある銀行が奨学金を出して、外国に留学させたいので誰かを推薦してくれと大学に申し入れがありました。
大学が推薦したのが彼女です。
面接試験も合格し、一年間の外国暮らしです。
ノーベル賞をもらった方の授賞式のとき座っられた椅子を実際に見て来たし、その方が椅子の裏に書いたサインも見てきたと言っていました。

一年間の国外留学のため、大学の卒業は一年遅れるようですが、その先さらに修士課程に進むつもりのようです。
英語がすごく得意なのだから、通訳など英語の道に進んだらどうかと打診したこともありますが、彼女は、私は理学療法士になりたいのだとはっきり意思表示をしました。
そうして現在その道を一生懸命勉強しているのです。
目標を定め、その目標達成のための努力をしているわけです。

二番目の子は女ですが、この子はとにかく小さい時から動物が好きでした。
動物なら何でも好きでしたが、イルカが特に好きでした。
大きくなったらイルカを扱う人になりたいと言っていました。

アルバイトで動物園の動物のえさをやったり、し尿処理をしたりしていましたが、とても楽しそうでした。
彼女は高校卒業時に真剣にその勤め先を探しました。
そうしてとうとう見つけたのです。
イルカの飼育係に採用されたのです。
彼女も泣けるほど嬉しかったようですが、私たちみんなも本当におめでとうと祝福しました。
先日久しぶりに帰って来て、我が家にも来てくれました。
見ると手の指が包帯だらけです。しもやけになったのだそうです。
何でしもやけなどになるのだと聞いてみますと、イルカのえさが冷凍してあるのでそれを取り出したり解凍したりしているためだと言います。
手袋すればいいじゃないかと言いますと、手触りでえさの良し悪しを見極めてイルカちゃんにやりたいので、素手でないとだめだとのことでした。
それでも一頭のイルカを専任として預けられ、これ以上の喜びはないと喜んでいました。

三番目の子は男です。
この子は物を作るのがとても得意です。工作がすごく好きで、芸術性も備えています。
ただ、勉学はあまり得意ではありません。
自分は物を作りだす世界に行きたいと常々言っていました。どういう物を作るのかは限定していませんでしたが、とにかく手で物を作りだす道に行きたいと言っていました。

願望を強く持ち続ければ必ず報いられると言われますが、その道の入り口にたどり着いたのです。
学校からの推薦で、義足を手作りするための専門学校に入学することが出来ました。
義足を作る職人の道があるとは私は知りませんでしたが、見つけてきたのです。

学校の推薦を得るために願書に私も署名しましたが、入学が決まった時、とても嬉しそうな顔をして、署名してもらえて有難うございましたとお礼を言いに来ました。
物作りをしたいと言う願いをかなえる入り口に入ることが出来たのです。
これからまだまだ勉強し努力しなければなりませんが、好きな道なら必ず成功できます。

孫たちも全員自分の好きな道にまっしぐらに進んでいます。
私の人生は、好きな道を一筋に歩いてきた人生です。
子供も孫もその精神を受け継いでいてくれるのです。
私は本当に嬉しく思いますし、それぞれ達成してくれることを願ってやみません。



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