高校の音楽
ギターマンドリンクラブ

 

ギタマンクラブの先生

ある高校のギターマンドリンクラブの発表会を聞きに行き、とても感動しました。指揮者の先生と言葉を交わしたのが始まりで、交流が深くなりました。
とても優しい先生で私の人生を楽しむ上での大きな位置づけとなったのです。
楽しい人生を送るためには友情と言う愛も大切です。
この先生との出会いから、親友としての心の通い合いに至るまで、順を追ってお話ししたいと思います。

新聞に載っていた

もう、今から20年ほど前の事ですが、家内が新聞を見ていて、「あなた、ここにギターやマンドリンの発表会があると書いてありますよ」、と言います。
私も見てみますとその通りですが、遠いのです。
高校のクラブの発表会のようですが、その高校まで行ってくるとすればまず1日仕事になります。

私はギターを弾くことが趣味でしたし、家内も音楽を聴くことは好きでした。
新聞をよく見てみますと、この高校は県大会はもちろんのこと、地区大会も突破し、全国大会で何度も優秀な成績を取っていることが分かりました。
当時私は仕事に没頭し、夜も昼もない状態でしたが、家族サービスも一生懸命していたのです。
ちょうど日曜日でしたので、ドライブがてら出かけてみることにしました。

演奏会で感動

会場は入場料無料でだれでも入ることが出来ました。
指揮者の先生が台上に立って、タクトを持ち上げ、生徒たちの目を見渡し、サッと振り始めます。生徒たちは同時に演奏を始めます。
もうその瞬間から素晴らしい!、と感じました。
演奏を聴いているうちに感動がこみ上げ、目から涙が出てきたのです。
みんな客席では前を向いていますから、私の涙は見えませんが、ぬぐうにもぬぐえず、演奏が終わって拍手している時に気づかれないようにその涙をぬぐいました。
何曲か演奏してもらえましたが、記憶では2曲、とても感動したように覚えています。

演奏会が終わりますと、生徒や先生が観客を送ってくれます。廊下に一列に立って見送ってくれるわけです。
先ほどの指揮者の先生もおられましたので、「有難う御座いました」と一言お礼を言って帰途についたのです。

感動は伝わる

次の年も同じように感動させてもらいました。音楽は人に感動を与えるのです。
この年は、定期演奏会おめでとう、と言う意味合いでほんの少しですが志を包んで受付にお渡ししました。
するとどうでしょう、演奏が始まる前に、客席まで指揮者の先生が私を訪ねて来られてお礼を述べられたのです。
そんな積りはありませんから、私はびっくりしてしまいました。
またまた、素晴らしい演奏に涙しました。
演奏する人と、聞く人の心がつながるのです。
生徒さんたちの日ごろの一生懸命な練習の成果は感動となって心に伝わってくるのです。

手紙

わざわざ先生が客席まで私を探しに来られて、わずかな志にお礼を言われたこともありますが、演奏のすばらしさに感動し、先生や生徒さんの努力に感謝しましたので、高校あてに手紙を出しました。
感動を有難うございました。涙してしまいました。先生にはわざわざお礼まで言って頂き申し訳ありませんでした。というような内容です。
そうしましたら、先生からお手紙がきたのです。
遠い所から有難うございました。感動していただけたことは私たちの最高の喜びです。と言うよな内容だったと思います。

それからは年賀状もやり取りしたり、定期演奏会のほかにも県大会や地区大会にもお邪魔するようになりました。
演奏会の時は先生の奥様もご一緒されることが多く、私たちも夫婦で出かけますのですぐ知り合いになりました。

お土産

音楽会と言うのはたいてい入場料を払って演奏を聴くものです。
しかしこの高校の発表会はいつも無料なのです。

まあそこまでは良いとして、びっくりしたのです。
会場で、先生からお土産を頂戴してしまったのです。
入場料を払うのではなく、逆に、頂戴してのです。

先生のおっしゃるには、遠い所をわざわざ聞きに来てもらえることが嬉しいのですと。
私は音楽の感動を楽しみに行っていたのですが、先生や奥様が喜んでくださることに驚きましたが、先生のその率直な気持ちは良く分かりました。

私自身も電気製品の開発をしていますが、お客様がこれを買って下さるときには本当に嬉しく思います。
先生もきっとそのような気持ちだったのだろうと思います。
それからは先生の気持ちに感謝するため、私もお土産を持って演奏会に行くようになりました。

以心伝心

お土産は心の表現ですが、自分の努力の結果が伝わることは自分の人生を楽しくしてくれます。
音楽を通じて、あるいは製品を通じて互いに心が通い合うものだと感じました。

先生はこの高校でギタマンのクラブで一生懸命指導されています。この道一筋なのです。
聞くところによりますと、自分は音楽の道に進みたいと考え、ご両親の承諾を得て大学に進み、高校の音楽の先生になられたそうです。
そうしてギタマンのクラブを作り、朝授業の始まる前から練習し、授業が終わってからまた練習するというくらいの熱の入れようで、音楽一筋に打ち込んでこられていたようです。
一筋に好きな道を歩かれた事が、先生におかれても楽しい人生となって行かれたのではないかと思います。

私は電気製品の開発一筋です。
公私混同と言いますが、家へは寝に帰るだけ。夜は1時か2時、朝は6時に起きて会社で仕事です。
当時は土曜日も平日出勤でしたので休みは日曜と休日だけです。
その休みにも会社に出かけて研究したことがしょっちゅうでした。
しかし私はこの仕事に惚れ込んでいましたから、嫌だとか辛いと思ったことはありません。
先生と同じように、私も好きな道を一筋に生きる人生を送ってきました。

二人ともそんな事を話し合ったこともありませんが、知らない間に伝わり、互いに好きになって行ったような気がします。
先生も私も、互いに一途にその道に打ち込んでいるところが、以心伝心で伝わったのではないでしょうか。
ものの考え方の根底が同じだったのではないかと思います。

その後もますます親密になり、とうとう家族ぐるみで飲み明かすことになりました。
詳しくはこちらの[一杯会]をご覧頂きたいと思いますが、気が付いたらお店の中は私達だけでだれもいなくなっていました。 閉店にも気が付かず飲んでいたのです。

人生を楽しむ TOP  戻る