蛍雪時代と言う月刊雑誌
・・本当に愛する人

 
蛍雪時代と言う時代があったわけではなく、雑誌の名前なのです。
大学受験には大変ありがたい雑誌で、色々の情報が盛り込まれています。昭和の初めころから始まり現在でも販売されています。

蛍雪時代

名前の由来

昭和7年に「受験旬報」として発刊されたのですが、昭和16年に「螢雪時代」と言う名前に変えられています。

螢雪という名称は、中国の故事である「螢雪の功」から来ているとされています。
「螢雪の功」というのは、「夏は螢の光で冬は雪明かりで勉強する」と言う意味で、ここから苦労して勉学に励むという意味になっています。

昭和16年、10月号編集後記には改題について次のように記されています。

「本誌は、長年耳慣れた『受験旬報』の名前に別れを告げ、『螢雪時代』という新しい名前の下に再躍進することとなりました。元々『受験旬報』という名前は、昨年9月に従来の旬刊を改めて月刊とした時に改題すべきものであったのですが、種々の事情から出来なかったのです。然し名前が変わったからといって、急に内容迄すっかりかわるわけではありません。今後は従来の記事の他に訓話とか、科学読物とか、偉人の伝記といった諸君の常識を増しためになる記事も出来るだけ多く盛って中等学生の学習指導雑誌として完璧の内容のものとしたいと思っています。兎に角次号から内容はぐっと清新なものとなります。ご期待ください。」

しかしこの題名は本当によく考えられており、実に受験生の苦労を読み取っていると思います。
卒業式によく歌いました、「蛍のひかーり、窓のゆーきー・・」。
大学受験はその人の一生を左右すると言ってもよいほど大切なことであり、多くの人が苦労して勉強しました。
今でも大変なようです。
つい2,3年前、私の孫が大学受験で家の中はピリピリしていました。

そのような受験生には、『螢雪時代』には大学に関する多くの情報が記載されており、ネットなどなかった時代には大変ありがたかったのですが、現在でもまだ国内では唯一の定期刊行の大学受験専門誌として存続しています。

蛍雪時代が続いている理由

昭和24年、新制大学の入学者選抜が行われることとなり、『螢雪時代』は新制大学の入試を準拠した内容にシフトし、大学進学者を読者としたのです。
特に戦後から1970年代にかけて『螢雪時代』は独占的な黄金期となりました。

しかし1970年代後半から全国的な予備校増設や模擬試験乱立が顕著に見られ、『螢雪時代』もこの新たな波に見舞われ始めました。
これを契機として、『螢雪時代』はさまざまな持続可能性を示す編集や改革を行ったのです。

『螢雪時代』の強さの秘密の一つに「大学特信員」制度の充実がありました。
「大学特信員」とは『螢雪時代』の読者で、大学入学後に編集協力を行うメンバーのことです。
常時1,000名を超えた「大学特信員」は、入学大学のナマの情報や受験体験記を提供しましたので、これが受験生にとって大学選び、受験対策を行う上で、得難い情報となったわけです。

編集部、読者、「大学特信員」による三位一体の誌面作りが『螢雪時代』の強さの秘密なのです。

1967年4月号以降、大判化され、タイトル文字のデザイン変更、誌面刷新など、時代の変化に対応した変更がなされました。
『螢雪時代』というタイトル文字のデザインも変更されています。

大学受験界の伝統的先端雑誌として他を圧倒する情報源を持ち、これによって多くの情報を保持している『螢雪時代』はリードを続けているのです。
受験生はもとより、大学、高校、マスコミ、大手予備校の関係者へも、その最新・独占情報等を提供し続け大学受験界を常にリードしてきています。
日本の大学受験に関する調査においても、欠かせない資料源として活用されています。

蛍雪時代の文通募集

『螢雪時代』は受験用の月刊誌ですが、毎日勉強ばかりでは疲れてしまいます。
このため、ちょっと一休みと言うことで文通希望の募集のページがありました。
1ページの半分ほどですが、自分はこういう者ですが、どなたか文通していただけませんかという募集欄があったのです。
ほとんどが男性ですが、中には女性の方が募集されていることもありました。

毎月募集が出ていますが、ある時、私も思い切ってその募集者に、「私でいかがでしょうか」と応募してみたのです。
どうせの事ならと思い、女性の方に応募してみました。
おそらくたくさんの応募者が居られるでしょうから、私にOKの返事が来る可能性は極めて低かったのですが、試しに手紙を出してみたのです。

ところが数日後にOKの返事が来たのです。
びっくりしました。
一番字は下手だったけれども文章が整理されており要点が分かりやすかったので決めたのだそうです。

しばらくの間、文通が続き、二人とも大学には合格でき、余裕もできたころ、写真交換の話が出ました。
写真交換の後は、一度会ってみたくなったのです。
話を飛ばしますが、何回か会っているうちにお互いが好きになって来てしまったのです。
とうとう本当に愛する人どうしになったのです。
結婚の約束までしてしまいました。

ところが、その、元文通相手であった本当に愛する人が、突然病気で亡くなってしまわれました。
私のショックは大変なものでした。
本当に愛する人を失うということの辛さをしみじみ感じました。

『螢雪時代』を出発点として結婚の約束までした人が亡くなってしまわれましたが、その方の思い出はいつまでも私の心の中で生き続けています。



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