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将来は結婚しようね、と言う結婚の約束です。本当に愛する人との間で取り交わした婚約のことです。 結納とか婚約指輪とかいうのではなく、二人の間の約束です。 約束婚約「蛍雪時代」という受験用月刊誌にあったペンフレンドの募集から文通が始まり、写真の交換となって何度か会っているうちに恋心が出てきました。私は男で、相手の方は女性です。 恋心のうちはそうなりたいなと思う程度でしたが、だんだん互いの気持ちは深く結ばれるようになり、いわゆる「本当に愛する人」どうしになってきたのです。 すると当然の事として、将来は結婚したいと言う気持ちになってきました。 まだ学生ですから法的なことは別として、常識的にはまだ結婚できる年ではありません。 でも互いの心は分かり合えます。 「将来は結婚しよう」。「約束だよ」。 二人の間でその約束が出来ました。どんな言葉で言ったのか覚えていませんが、多分、言葉での約束は無かったと思います。 心と心のつながりの中で、互いにそう思ったと言うことです。 ですから、結納などしていません。 結婚指輪の交換もしていません。 でも、結婚は周りのみんなに祝福してもらいたかったですから、親たちの了解を求めることにしました。 彼女の親は即座に了解してくださいました。 ところが私の両親は許してくれなかったのです。 許してくれないどころか、別れてしまえと言うのです。 まだ学生でしたし、絶対別れるつもりはありませんでしたから、時間をかけて説得することにしました。 本当に愛する人どうし二人の間での結婚の約束はこうしてできたのです。 後になって「婚約」と言うことについて法的なことを調べてみますと、結納などしていなくても、両者の間で合意があれば婚約は成立するとなっていました。 家出文通で知り合った同士ですから、互いの住まいは遠かったのです。私は小さな一人部屋のアパートに住んでいました。 大学を卒業し、会社勤めに入ってしばらくした時、何の予告もなく突然彼女が私の部屋にやってきたのです。 「イエデしてきちゃった」というのです。 何のことだかさっぱり分からず、聞きなおしますと、家出をしてきたのでここに一緒に住まわせてほしいと言うのです。 一人部屋ですからそんなことが出来るはずはありませんし、本当に愛する人としての彼女の気持ちも分かりましたし、近くに彼女が住めるアパートを探しました。 不動産屋に頼みましたら、すぐに見つけてくれましたので取り合えずそこに住んでもらうことにしました。 ところが、彼女の母親が私の所へ来られて、連れて帰りたいと言われるのです。 どちらを選択すべきか迷いましたが、やはりもう少し結婚までは時間が必要だと考え、母親に連れて帰ってもらうことにしました。 同棲について彼女とは心が通じ合っているとはいえ、小さなことではよく喧嘩もしましたし、意見の違うこともありました。彼女は同棲生活を望みましたが、私はそれは出来ないと断りました。 私の両親を説得し、皆に祝福してもらえる結婚をしたかったからです。 会社の同僚ですが、「俺、結婚したからね」と突然言いますので、皆驚いて事情を聴きましたところ、学生時代から同棲していて、最近婚姻届けを出したのだそうです。 私も考えました。 そういう道もあるのかと。 でも、私の考えは変わりませんでした。 もう少し彼女には結婚を待ってもらうことに改めて決めたのです。 |